はじめに|夜勤で「自律神経が乱れる」ってどういうこと?
夜勤をすると「なんとなくだるい」「寝ても疲れが取れない」「休みの日も寝てばかり…」そんな経験はありませんか?
それ、実は“自律神経の乱れ”が原因かもしれません。
自律神経は、私たちの体を24時間自動でコントロールする「無意識の神経システム」で、主に交感神経(活動)と副交感神経(休息)のバランスで成り立っています。
夜勤は、このバランスを崩しやすい働き方です。本来、夜は副交感神経が優位になって体を休める時間ですが、夜勤では無理に交感神経を働かせることになるため、自律神経の調整機能に負担がかかり、疲労や不調の原因になります。
本記事では、夜勤に従事する看護師や医療職、サービス業の方などを対象に、「夜勤前」「夜勤中」「夜勤明け」の3つのタイミングに分けて、自律神経をできるだけ乱さず、健やかに働き続けるための具体策を徹底解説します。
なぜ夜勤は自律神経を乱すのか?
自律神経の基本と、夜勤の“逆行”作用
- 交感神経:昼間の活動モード。心拍数・血圧・体温を上げる。
- 副交感神経:夜の休息モード。消化・回復・リラックスを担う。
人間は本来、昼に働き、夜に休むようにできています。夜勤ではこのリズムが真逆になり、体内時計(概日リズム)と自律神経の働きがかみ合わなくなるのです。
夜勤による体と心への影響
- 睡眠の質の低下
- 消化機能の低下、便秘や胃痛
- 疲労感、イライラ、抑うつ気分
- 長期的には生活習慣病や心血管リスクの上昇
夜勤を続ける上では、「どうせ不調になるのは仕方ない」と諦めるのではなく、自律神経をできる限り“乱さない習慣”を身につけることが重要です。
夜勤前|自律神経を整える準備5選
1. 仮眠をとる(2~4時間の予備睡眠)
- 夜勤前の仮眠は、夜間のパフォーマンスや集中力の維持に効果的。
- 夕方〜夜勤開始の2〜3時間前までに90〜180分程度の仮眠を確保。
2. 光と音を遮断する
- 寝るときには遮光カーテン、耳栓、アイマスクなどで睡眠環境を整える。
- スマホやPCのブルーライトは控える。
3. リラックス習慣で副交感神経を優位に
- 入浴、ストレッチ、アロマ、瞑想など、自分に合ったリラックス法を実践。
- 「夜勤前ルーティン」を作っておくと、切り替えがスムーズ。
4. 食事は“腹八分”で消化にやさしく
- 脂っこい食事やドカ食いは避ける。
- 糖質・たんぱく質・ビタミンB群・鉄分などをバランスよく摂取。
5. カフェインは控える
- 仮眠前のカフェインは睡眠の質を下げる。
- 摂るなら勤務中盤や仮眠後として、量も少量にする。
夜勤中|疲れを溜めない自律神経ケア術
1. 分割仮眠を活用する
- 合計90〜120分の仮眠を前半90分+後半30分に分けるのが理想
- 難しい場合は連続90分以上の仮眠を、もしくは15〜30分の仮眠(パワーナップ)を活用。
2. 明るい照明で交感神経を刺激(勤務前半)
- 深夜どうしても眠たい時には、明るい光が有効(後半に浴びすぎると夜勤明けで眠れない可能性も)
- 勤務前半は明るい照明、後半は徐々に暗めに調整。
3. カフェインナップを取り入れる
- 仮眠直前にカフェインを摂り、20分の短時間仮眠。
- 起床後にカフェインの覚醒効果が表れ、眠気を軽減。
4. 間食と水分補給の工夫
- 血糖値の急上昇を避けるため、ナッツや果物などを少量ずつ摂取。
- 水や白湯など、胃腸にやさしい飲み物をこまめに摂取。
5. ストレッチ・巡回など軽い運動をこまめに
- 1時間ごとに軽いストレッチや歩行で血流促進。
- 眠気予防と自律神経の刺激に効果的。
夜勤明け|スムーズに回復する理想の過ごし方
1. 帰宅後すぐ寝ない
- 帰宅時はサングラスや帽子などで朝日を遮断。
- 軽食→シャワー→就寝の流れで副交感神経を優位に切り替える(就寝前に食べすぎると睡眠の質が下がるので、就寝前は軽食にとどめる)
2. 短時間でも“質の良い睡眠”を
- 3〜4時間でもOK。アイマスクや耳栓、遮光カーテンを活用。
- エアコンを使用し、室温は26℃前後が理想。
3. できるだけ生活リズムを崩さない
- 極端な昼夜逆転は避け、少しずつリズムを戻す。
- 睡眠のとりすぎや、夜まで無理に起き続けるのはNG。
4. 軽い運動と日光で体内時計を調整
- 起床後に散歩やストレッチでセロトニン分泌を促進。
- 帰宅時の直射日光を避け、日光を浴びるのは極力起床後にする。
5. 入浴・深呼吸・ストレッチで副交感神経を刺激
- 就寝前のリラックスタイムが重要。
- 入浴→読書や瞑想→軽いストレッチや頭を使わない作業→就寝の流れがおすすめ。
夜勤リズムを整えるセルフケア習慣
- 起床後10〜15分、日光を浴びる。
- 就寝・起床時間はできるだけ固定する。
- 食事・入浴・運動の時間帯も一定に保つ。
- 深い呼吸を習慣にする。
- 自分に合った睡眠パターンを見つける。
自律神経を乱さない”理想の食事まとめ”
🔹 共通原則
- 消化に負担をかけないものを選ぶ
- 血糖値の急上昇を避ける(砂糖・炭水化物だけに偏らない)
- ビタミンB群、マグネシウム、鉄分、食物繊維を意識
✅ 夜勤前
- 炭水化物+タンパク質+野菜のバランスの良い食事
- 揚げ物・脂っこい料理は避ける
- カフェイン・エナジードリンクは控える
✅ 夜勤中
- 少量をこまめに:ナッツ、ヨーグルト、バナナ、スープなど
- 飲み物は水・白湯・ノンカフェインのお茶
✅ 夜勤明け
- 空腹なら軽食(お粥・スープなど)を少量
- 就寝直前の食事は避ける
- 起床後に栄養バランスの取れた食事を摂る
自律神経を整える”理想の仮眠・睡眠まとめ”
🔹 共通原則
- 基本的には毎回90分以上は眠るようにする。
- 光・音・温度を整えた「睡眠環境」が超重要
✅ 夜勤前
- 仮眠は2~4時間(夕方に調整)
- 就寝前のスマホ・テレビは控える
- 就寝1時間前に入浴で体温を上げて入眠をスムーズにする工夫も◎
✅ 夜勤中
- 分割仮眠(例:90分+30分)が理想(できなければ連続でもOK)
- 15〜20分の仮眠(パワーナップ)でも効果あり
- 仮眠前の「カフェインナップ」も有効
✅ 夜勤明け
- 軽食+シャワー後に3〜4時間の深い睡眠
- アイマスク・耳栓・遮光カーテンを活用
- 起床後は日光を浴びて体内時計をリセット
- 夜は再度しっかり睡眠をとる
おわりに|夜勤で自律神経を乱さないために
夜勤はどうしても自律神経に負担がかかります。しかし、事前の準備や夜勤中・夜勤後の工夫を通じて、その負担は大きく軽減できます。
「夜勤だから仕方ない」と諦めず、できる範囲から整えることで、あなたの体と心はもっと楽になるはずです。
夜勤前後をうまく過ごして、体に負担のかからない生活ができるように頑張りましょう!
※この記事は、最新の国内外の研究や文献をもとに作成しています。
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